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専門家に聞く"寝室環境の適切な明るさ"~寝室の明るさ・照明気にしていますか?~

専門家に聞く"寝室環境の適切な明るさ"~寝室の明るさ・照明気にしていますか?~

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照明をつけたまま眠れる?

エムール睡眠・生活研究所の所長で富山大学名誉教授の神川です。

先日、ある親御さんからこんなお話を伺いました。
修学旅行を控えた高校生のお子様が、「同じ部屋になる友達が、照明をつけたまま寝るタイプだったらどうしよう……!」と心配していたそうです。

私自身の学生時代を振り返っても、また我が子を修学旅行へ送り出す立場になってみても、気になるのは「夜更かしや枕投げで先生に怒られないように!」「集団行動だから、集合時間や場所を間違えないように!」「お小遣い、ちゃんと計画的に使ってね!」といったことばかりでした。

寝室環境の科学的理解

修学旅行や合宿で「雑魚寝」など言うのはもう過去の事のようで、現代では寝室環境がパフォーマンスに影響するという科学的理解も進み、睡眠研究者としては喜ばしく思う反面、一日の仕事や勉強、スポーツなどで疲れたら、夜はどんな所でも「バタンキュー」と泥のように眠る(古いですね)ということが至難の時代になって来たと実感しました。

社会は24時間化して、誰かが働き、活動し、家庭でも遅くまで煌々と照明がつき、子ども達も遅くまで習い事や勉強、テレビやゲーム、動画視聴などで脳が休憩する間もなく、いざ寝ようとしても寝付けないという実態が多く見受けられます。

そんな中、修学旅行で明るくて眠れないのではないかと心配する高校生の話に思わず「かわいい!」と同席した大人は異口同音に言いつつ、私は「素晴らしい!あっぱれ!」という気持ちになりました。

ろうそくの火よりも暗く

高校など教育現場の学校保健委員会では、必ずと言ってよいほど「寝室は就寝前から徐々に暗くして、寝るときは30Lx(ルクス)以下に暗くしないと、睡眠物質であり、免疫力も高めてくれるメラトニンが十分に分泌されず、体内時計や体調も崩しやすいですよ」と解説しています。

そんなことなど意に介さない中高生は、電気をつけたまま(時にはイヤホーンもつけたまま)寝落ちするのは日常茶飯事で、むかし大学生で就寝時に電気を消そうと長い紐を付けたら、寝返りで体に巻き付き電気がついたり消えたりしたと大笑いしたこともありました。保護者でも、子どもが怖がるので電気をつけて寝ますと言われる方は結構多いです。そんなときは「お子さんが寝たら消してあげてください」とお願いします。

昨今は、突然の災害も気にかけなければならないので、真っ暗とは言いませんが、直接光が目に入らない(低い位置の)足元等などで30Lx(ルクス)以下にしてほしいとお伝えしています。

良い睡眠がとりにくい環境の現代だからこそ

メラトニンは脳の松果体というところから分泌され、概日リズムという体内時計を調整する働きもあるのですが、習慣的な就寝時刻の1~2時間前から分泌が始まり、真夜中に最大量分泌され、起床前には低下して目覚めやすくなり、日中や昼寝では分泌されないことが分かっています。

スマートフォンの普及など、現代は良い睡眠がとりにくい環境が拡大している中で、ひとり一人が寝室を持ち、個人の好みの環境がある中でほぼ自己管理に委ねられています。それゆえ宿泊先で同室になる友達の好みが気になることは大いに共感できます。私も時々婆友(昔はママ友)と温泉旅行しますが、就寝時の環境は明るさ、温度、騒音(いびきなど)はめちゃくちゃ気になります。私もアルコールを頂くといびきをかいているかもしれませんし。

年代を重ねるごとに睡眠環境は重要に

年齢が高くなると、たださえ眠りが浅くなる中で、明るさ、温湿度環境、騒音などは深刻な悩みとなる場合が多いのです。家族でも夫婦でも好みの温度が違ったり、いびきや寝言が気になったり、何より夜中にトイレに起きたりなどの点灯で眠れなくなるというご相談も多く伺っているところです。

基本的には若い人より高齢者の方が多少五感は鈍ってきているのですが、夜間に限り騒音には敏感になる傾向があるようで、世代の違う家族との同居の中で、よくトラブルの元に挙げられます。夜中の若い世代の音楽がうるさいとか、朝方の高齢者の掃除機の音が困るとか。世代間での同居には、生活スタイル・リズムの違いをとくに睡眠環境として相互に理解することが大切なようです。

病室という睡眠環境

このような中で、私が若い時からずっと気になって来たのが、入院しているときの病室環境です。最近は研究が進んで、ICUにおいてさえ、患者の様子をみるための明るさや、様々な医療機器の信号音、医療従事者が右往左往される気配すら、患者はもちろん医療従事者のみなさん達のストレスになっているという報告もあり、より良い医療環境が模索されています。睡眠環境を研究してきた私としては、長年の懸案でした。

病気や怪我、お産などで入院している方々にとっても、病室環境が良いほど睡眠の質が良くなり、回復期間も短い、つまり入院期間が短くなることなども研究で分かっています。つまり眠れないほど回復が遅れるということになるのです。

昔から母の心臓が弱かったり、父の闘病で付き添った病院から職場に通ったり、最近では家族が頸椎の手術で2週間入院したことなどで、10回以上の入院の様子を見てきましたが、病院の睡眠環境や、交代制勤務の方々の睡眠や仮眠環境は、まだまだ解決していないこれからの課題だと思っています。

現代人が“快眠”を求める理由

誰しもが、自分の最も眠りやすい環境で満足感の高い睡眠を1日でも多くとりたいと願っていると思います。修学旅行だから、お祭りだから、年越しカウントダウンだからと特別な日は寝ないで頑張るという非日常は、そんなに多くなかったのは昔のことで、現代は毎日が生活リズムを定めきれない非日常の連続になっているように感じます。

一方で、眠らない日や不規則が続くと、どのような不調や不都合が起こってくるのかについても理解と実感が進んできているので、快眠しにくい現代だからこそ、睡眠を大切にしようとする人々も増えてきていると思われます。

できるだけ快眠の日を確保して、生活の質やパフォーマンスを向上したいと願っているのでしょう。現代は「ど根性」や「寝るのがもったいない」という勘違いで、日々報道されるようなリスクの多い時代を乗り切ることは困難である事を実感している人々も多くなっていると思います。

寝室環境の明るさは直接光が目に入らない(低い位置の)足元等などで30Lx(ルクス)以下にしましょう。いよいよ夏がやってきます。寝苦しくないような温湿度管理も大切です。身体に合ったマットレスを使うのも良いでしょう。快眠しにくい要素が増えているように感じる現代ですが、科学的な理解が進んでいることもあります。自分なりの対策や工夫をして、対処していきましょう。


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