睡眠時無呼吸で循環器疾患発症リスクが上昇、順天堂の研究で明らかに

2023年5月26日

エムール睡眠・生活研究所

夜間間欠的低酸素と循環器疾患発症リスクとの関連を調査

学校法人 順天堂が5月9日に、睡眠時無呼吸で循環器疾患発症リスクが上昇することを、前向き追跡研究で明らかにしたと発表している。

睡眠時無呼吸の治療には経鼻的持続陽圧呼吸療法が用いられるが、国内のエビデンスが少なく、中等症以上でない場合は保険適応外となってしまう。

そこで、順天堂大学大学院医学研究科公衆衛生学の谷川 武氏(主任教授)をはじめとした共同研究グループが、夜間間欠的低酸素と循環器疾患発症リスクとの関連(閉塞性睡眠時無呼吸の代替指標)について、国内の地域住民(大阪府八尾市、茨城県筑西市、秋田県井川町の3地域)を対象に追跡調査を実施し、軽症の睡眠時無呼吸の影響などについて明らかにした。

睡眠時無呼吸の早期発見が重要であるという結果に

同調査では8年間、虚血性心疾患と脳卒中の既往がない5,313人(40歳から74歳)を対象に、1時間あたりの3%以上の酸素飽和度が低下した回数を評価。年齢、性別、飲酒歴などを調整した多変量調整ハザード比と95%信頼区間を算出した。

その結果、3%ODI<5と比較した3%ODI≧5の循環器疾患発症の多変量調整ハザード比は1.49(1.09-2.03)となった。心疾患では1.93(1.16-3.19)となり、脳梗塞に関して病型ごとに検討すると、ラクナ梗塞では2.13(1.08-4.22)とリスク上昇が確認された。

同研究グループはこれらから、今後の循環器疾患発症予防において、睡眠時無呼吸の早期発見・早期治療が重要であることを明らかにしている。なお、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌のオンライン版には論文が公開されている。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

順天堂大学 プレスリリース
https://www.juntendo.ac.jp/news/13804.html

学校法人 順天堂のプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000536.000021495.html

執筆者/監修
Author

エムール睡眠・生活研究所

  • 【所長・主席研究員】神川 康子 富山大学 名誉教授 博士(学術)一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。
  • 【所属有資格者】 日本睡眠改善協議会認定 上級睡眠改善インストラクター 1名/睡眠改善インストラクター 6名 日本睡眠教育機構認定 睡眠健康指導士上級 2名/睡眠健康指導士 11名
  • 【活動内容】 「続けられる具体的な睡眠改善」をテーマに、専門的な見地からのデータ収集と分析及びソリューション開発を目的として設立。 寝具や寝室環境に関する調査研究や睡眠教育など広く社会に役立つ研究開発と知識啓発を行っている。 詳細はこちら https://nemuri-kurashi.jp/activities/