サルコペニア状態になる前に!筋力アップで予防しよう

2023年8月18日

エムール睡眠・生活研究所

サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少のことを言います。生涯を通して進行し続け、放っておくと歩行困難にもなりかねないほど重大な問題なることも。
ですが、トレーニングを行えばサルコペニアの進行を遅らせることも可能です。

この記事では、サルコペニア状態の確認方法から、筋力低下を防ぐためにどのようなことをしたら良いのかをご紹介します。
最近筋力が衰えてきたな…」と感じる方は今日から対策を始めてみましょう!

サルコペニアとは?

筋肉量の減少のことをサルコペニアと呼びますが、サルコペニア状態に陥ると具体的にどのように症状が進行していくのか、どのようなことが起きるのかと不安に思う方もいらっしゃるかと思います。

サルコペニアについて詳しく見ていきましょう。

サルコペニアになるとどうなる?

サルコペニアとはギリシャ語の「サルコ」と「ぺニア」を組みあわせた造語です。
「サルコ」とはギリシャ語で「筋肉」を指し、「ぺニア」とは「喪失」を指します。
そのままの意味でとれば「筋肉喪失」となります。つまり、筋肉量が低下してしまうことを表すのです。注1

厚生労働省によるとの以下のように定義されています。

筋肉の量が減少していく老化現象のことです。25~30歳頃から進行が始まり生涯を通して進行します。筋線維数と筋横断面積の減少が同時に進んでいきます。主に不活動が原因と考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には判明していません。

引用元:e-ヘルスネット サルコペニア|厚生労働省

人間の筋肉量は40歳ごろから徐々に低下し始め、高齢になるにつれて筋肉量の低下スピードが加速していきます。
運動だけでなく、食事からの「タンパク質の接種」からでも筋肉は補うことができます。注2

しかし、加齢に伴い運動量や食事量が減ってしまうことも事実です。それにより、サルコペニア状態が進行してしまうとも言えます。
サルコペニア状態に陥ると、立ち上がることや歩くことなどの日常的な動作がだんだんと億劫になってしまいます。
さらには、転倒や骨折をしやすくなったり、寝たきり状態になったりしてしまうことも考えられます。

フレイルとの違いは?

サルコペニアに関して見ていくと、同時に出てきがちなのが「フレイル」という言葉です。

フレイルとは、「加齢に伴い心身が衰えてしまう状態」のことです。精神的と身体的、そして社会的な面の衰えを指します。

サルコペニアは筋肉量の低下、つまり身体的な衰えを指します。様々な要因が連鎖して起こり得るのがフレイルなのです。

簡単セルフチェックで現状確認

ここまでご覧になった方の中には「もしかしたらサルコペニアなのかもしれない…」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、サルコペニアではないかの簡単なセルフチェック方法を紹介します。

日常的に感じられるサルコペニアの兆候

まずは日常的な動作を振り返ってみましょう。以下のような兆候が現れたらサルコペニアの可能性があります。

例えば、以下のようなものがあげられます。

  • 歩くスピードが低下した
  • つまずく、転ぶ回数が増えた
  • ふたが開けづらくなった
  • 疲れやすくなった

もしも当てはまっている場合は、筋肉量を増やせるように運動をする、食事を改善するなど、日常的な側面から改善していきましょう。

指輪っかテスト

「指輪っかテスト」とは、指を輪状にしてふくらはぎの筋肉の太さをチェックする方法です。
やり方を確認してみましょう。

      ①両足が床につくように椅子に座る
      ②前かがみの体勢になる
      ③利き足で無いほうのふくらはぎの一番太い箇所を両手の親指と人差し指を合わせる形で囲う

    両手の指でふくらはぎが囲えなかった場合はサルコペニアの可能性が低く、囲った時に隙間が生じるほどサルコペニアの可能性が高くなります。注3

    椅子の立ち座りテスト

    指輪っかテストの他にも、椅子から立ち座りをすることでセルフチェックが可能です。

    こちらもやり方を確認してみましょう。

        ①椅子に座る
        ②椅子から立ち上がる、座るの動作を10回繰り返す

    この動作が苦痛なく行える場合は、サルコペニアの可能性が低いです。
    しかし、立ち上がりが難しい、痛みを感じるといった場合はサルコペニアの可能性が高くなります。

    これらのテストはあくまでも目安にすぎません。
    全てを実行してみた上で不安が残る場合は病院で相談してみてくださいね。

    筋力低下を防ぐには?

    サルコペニアかどうかの診断はできたものの、サルコペニア状態の進行を防ぐべく、筋力を向上させるにはどのようにしたら良いのでしょうか。

    筋力アップに欠かせないのが運動

    サルコペニアの予防にはいくつか簡単な方法があります。徐々に慣れていって、体に負荷をかけて筋肉量の低下を防ぎましょう。

    例として主に以下のような運動があげられます。

    • 有酸素運動
    • レジスタンス運動
    • これらのような運動の中から、無理なく続けられるものを選び、継続、習慣化していきましょう。
      毎日行えば、筋力を維持し、向上させられる可能性が上がります。

      これらの運動の内容に関しては下記の記事でも詳しく掲載されていますので参考にしてください。


      筋力アップのメリット

      筋力の向上といっても、筋力アップをすることにはどのような効果が見込まれるのでしょうか。

      まず挙げられるのは、骨密度の向上です。
      筋力アップによって骨密度が増加し、骨折の予防にも繋がります。

      また、筋力アップは寝たきりになるリスクを減らす効果もあります。高齢者は筋力の低下によって日常生活で必要な動作が困難になってしまい、寝たきりになってしまうことが少なくありません。
      筋力アップによって姿勢保持能力の向上、転倒の予防の効果などが期待できます。
      つまり、日常生活での動作がスムーズに行えるようになり、寝たきり予防にも繋がります。

      さらに、筋力アップは代謝の向上にも効果的です。
      筋肉は脂肪を燃焼させる効果があり、筋力アップによって筋肉量が増えると基礎代謝が上がるため、脂肪の燃焼が促進されます。
      その結果、体脂肪の減少や体重のコントロールにも効果的です。

      以上のように、筋力アップには骨密度の向上、寝たきりの予防、代謝の向上など様々な効果が期待できるのです。注4

      意欲的に体を動かしてサルコペニア予防をしよう!

      サルコペニアとは筋肉量の減少のことを指しましたが、減少が進んでいても日頃の運動で進行をできるだけ抑えることが可能です。

      また、筋力を向上させるための運動はサルコペニアになるリスクを抑えるだけでなく、他の症状の進行を防ぐのにも効果的であることがわかりました。

      意欲的に体を動かすことを意識して、サルコペニアを予防していきましょう!

      参考元

      注1)東京医科歯科大学「食彩たより 第40号」サルコペニア 2023年8月9日

      注2)アクティブシニア「食と栄養」研究会「サルコペニア対策|サルコペニアとは」サルコペニアの原因 2023年8月9日

      注3)NHK健康ch「筋力低下・筋肉の減少を起こす『サルコペニア』症状セルフチェック」サルコペニアのセルフチェック 2023年8月9日

      注4)公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「高齢者の筋力トレーニングの効果」高齢者の筋力トレーニングの効果とは 2023年8月18日
執筆者/監修
Author

エムール睡眠・生活研究所

  • 【所長・主席研究員】神川 康子 富山大学 名誉教授 博士(学術)一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。
  • 【所属有資格者】 日本睡眠改善協議会認定 上級睡眠改善インストラクター 1名/睡眠改善インストラクター 6名 日本睡眠教育機構認定 睡眠健康指導士上級 2名/睡眠健康指導士 11名
  • 【活動内容】 「続けられる具体的な睡眠改善」をテーマに、専門的な見地からのデータ収集と分析及びソリューション開発を目的として設立。 寝具や寝室環境に関する調査研究や睡眠教育など広く社会に役立つ研究開発と知識啓発を行っている。 詳細はこちら https://nemuri-kurashi.jp/activities/