【快眠コラム】猛暑の夜にぐっすり眠るには?

2023年7月26日

神川 康子

過酷な環境でも良い眠りを得るには?

今年も線状降水帯が大きな爪痕を残しました。そして梅雨が明けたかと思うと連日の猛暑。
私たちの安眠を妨げる環境がこれでもか?と迫ってきます。

私たちがおかれている過酷な環境の中でも、できる工夫をして少しでも良い眠りが得られれば、また今日もがんばれそう!と思えます。

今回は、平常とは違った環境で少しでも良い眠りが得られる工夫について考えてみましょう。

夏こそ睡眠はしっかり取りたい

年々更新される猛暑の最高気温や記録更新地点。吐く息よりも高い外気温にはつらいものがありますね。

このような環境の中でこそ、日中の疲れを解消してくれる睡眠はしっかり取りたいものです。

あまり手間暇、お金を掛けずに自分の睡眠環境をカスタマイズして、猛暑にも健康貯金を心掛けしてみましょう。

まずは室温から見直そう

まずは寝室の温度。室内が28℃以下に保たれれば良いのですが、冷やしすぎるのも、温度変化が激しいのも身体には良くありません。

そのため、室温を25℃~28℃位の範囲に保てたら良いでしょう。
多少温度が高めでも気流があれば涼しく感じられるので、サーキュレーター、扇風機、エアコンの風を天井に向けて気流を作ると良いでしょう。

とくに夏場に日当たりが良すぎる寝室では昼間から壁や天井などに蓄熱してしまいます。そのため、就寝前はにわかに冷えません。
誰もいない日中からでも厚手のカーテンやブラインドを閉めて、エアコン30℃位の設定で高温になりすぎるのを予防することも必要です。

犬や猫などのペットがいらっしゃるご家庭では、日中もエアコンをつけての出勤は良くあることです。
夜に急に冷やすよりも、日中からエアコンを作動させることで電気代が高くなることは、最近のエアコンではないようです。

寝具はどうすればよい?

室内が涼しければ、寝具はあまり気にせずに、お腹周りだけは掛け布団やタオルケットなどで冷えないようにすれば良いと思います。

かなり汗をかく環境であれば、マットレスや敷布団、枕などは、身体と密着するのではなく、少し固めで隙間ができるものであれば通気性が良くなります。

シーツや枕カバーなどにひんやりする(接触冷感)素材を使うとか、氷枕にタオルを巻いて頭やおでこを冷やして就寝するのも良いでしょう。
パジャマなどの寝衣もゆるめで、首、腕、足回りなども空気が通りやすいデザインだと涼しく眠れそうです。

深い眠りの時に深部体温(脳や臓器の温度)が下がっても外からは冷えないよう、寝相が悪くなってもお腹周りだけは夏用の腹巻などを着用するのも良いでしょう。ぜひお子さんにも配慮をお願いします。
また、就寝前の水分補給(白湯か水)は、熱中症予防に必須です。

執筆者/監修
Author

神川 康子

富山大学 名誉教授 博士(学術) 。一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。40年以上に渡り、睡眠研究を行う。年間50回を超える講演を通して、睡眠教育の啓発に尽力。睡眠環境学入門ほか寄稿多数。